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パチっ、パチっとパズルが組み上がって行く。
しかし全てのピースが、というわけではない。
ーー 一体何の絵なんだろう?
ふと目に入った足元に落ちている一片がどうしても気になり、拾い上げる。
ーーうっすら色がついているだけだわ…
日の光に照らすかのように頭上に持ち上げた時、腕を伝うどろっとした感覚があった。
その色は、、赫。
「っ!!」
手にしていたピースが赤黒く染まっていた
ーーーーーー
目を開けると部屋の中は暗く、まだ夜は明けていない様だった。
あまりにもどろっとした感触がリアルで布団の中から手を出すのに勇気がいる。
ーー夢みたいに赫く染まっていたら……
《……不安な時はよく、、》
ーー袖口、、握ってた、、
ふと妓夫太郎の言葉を思い出すと、少し気持ちが楽になった。ゆっくり両手を布団から出してホッとした。その手に血など付いていなかったから。
しかし、あの赤黒い一片がどうしても頭から離れない。
ーー本当にあのパズルは組み上がって良いの?
出来上がった途端に全てがあの色に染まってしまったら、、
見上げる天井。そこには脳内の映像が映し出されているような気がした。
赫い、赫い、暗い海に二人の影。
私は何かを引き摺りながら二人の元へ歩いていく。
『なんだ菫。そいつまだ生きてんじゃねぇか』
『あれ?おかしいですね』
『そんなの首を落としちゃえば良いじゃない』
『……』
『…仕方ねぇなぁ』
血が舞う
ーーああ、綺麗、、
妓夫太郎さん
赫が映えて、、
「え?
妓夫太郎、、先輩、、?」
ーーーーーー
ーーあれから一睡も出来なかった。
「菫ちゃん体調良くないですか?」
「恋雪ちゃん。
大丈夫よ…ちょっと早くに目が冴えちゃっただけだから」
机に突っ伏して居るなど珍しい姿に恋雪があまりに心配するものだから、何だか申し訳なくなってしまう。
空元気には間違いないのだが、体を起こし、もう大丈夫だと笑って見せた。
「あー居た居た。菫」
「うっ……宇髄先生」
菫は前に美術室前を通った時、爆音、爆風に巻き込まれた事から宇髄の事が苦手になっていた。それがなくてもあのギラギラした雰囲気と風貌はどこか好きになれない。
反対にあの時の反応が面白かったと、宇髄からは気に入られてしまった。美術の教科担当では無いのに何かにつけて頼み事を持ってくる。かぼす組の連絡まで頼まれた時には断ろうかと思ったが、断れずに結局かぼす組に足を運んだ。
「今日の美術で、、って菫、地味に顔色悪くなってんぞ?」
大丈夫か?と声をかけながら宇髄の手が伸びる。
途端に背筋がざわついて、思わずその手を打ち払ってしまった。教室内にパチンッと音が響き静まり返る。
「……あ、、あの、、ごめんなさい、、」
視線が菫に集まり、その視線に居た堪れなくなって教室から飛び出した。
風紀委員でもあり、ほとんど恋雪と一緒にいる菫だから、廊下を走ったのはこれが初めてだったかもしれない。
視線が下がっていた為、前方を見ておらず廊下で誰かにぶつかってしまった。
「ごめんなさいっ」
「菫?」
ーー妓夫太郎先輩、、、。
その声に足を止めそうになったけれど、今朝の赤々しい妄想が蘇り、足は止まることなく再び速度を上げた。もう何から逃げて居るのか菫にも分からず、ぐちゃぐちゃな気分になっていた。
気がつくと校舎裏で膝を抱え視線を彷徨わせていた。
ーー上履きのまま外に出ちゃった……
「どうしたの?
また大事なモノを無くしてしまったの?」
「……また?」
その時、始業開始のチャイムが鳴った。
ーー……やってしまった。
「確か、カナヲ先輩ですよね?
梅先輩のクラスの。
…授業はいいんですか?、、」
「……今日は公欠だから、、」
ーーでもなぜ校舎裏に?
菫の疑問に気付いたのかカナヲは指をさす。その先の木には弓道の道具が纏められていた。
華道部であるはずの彼女だが、運動神経が良くあちこちの部活から助っ人を頼まれていた事を思い出す。助っ人で公欠なんてどんな状況ですかと言いたくもなるが、そうなんだから仕方ない。
「先輩、、"また"ってどういう事ですか、、」
「……初めて会った時、貴女はそう言って泣いていたから。
もう、この世に留まる意味がないって」
「、、なんですかそれ。」
ーーそれじゃあ、まるで、、、
一度死んだみたいじゃ無いですか。
パチっ
「貴女と私は良く似ていたの。
自分の心に正直に生きるのは、簡単そうで凄く難しい……
でも、貴女にもできる。
私にできたから」
的を射ない話なのに、その言葉はすんなりと菫の心に染み込んでいく。
「がんばって、、」
ーーーーーー
パチっ、パチっと音が聞こえる気がする。
今は分かる。この音はパズルが繋がる時の音だと。
カナヲがさった後、急に眠気がやって来てそのまま目を閉じてしまった。
夢の中ではいつものパズルが広がる。
前よりも残りのピースが少なくなっていた。
「カナヲとの記憶はあちらだよ」
「理事長先生?」
困った様な顔をして理事長こと耀哉は微笑んだ。
「これが最後の機会だからかな。
菫。君は転生した世を生きていると思うかい?」
少しだけ考える様な仕草。
「……どういう意味ですか?」
「ここはまだ地獄の中なのだよ」
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