永延の海に棲む

二〇十八年:憶う

思い出がわたしを埋め尽くすまで
あたしはあの子の泣き顔を知らない
やさしいわたしで終わりたい

二〇〇五〜一〇年:怺える

光があなたの声になる
二人の過ちには名前がある
うつむく二人は夜明けになれない
あなたが息をしている間
ずっと変わらないことがある

大人になればさよならくらい
簡単だと思ってた

いつかこの恋が終わる瞬間を夢見ている

二〇十八年:紕う

ないものばかり愛しているなよ
うつくしくないかたちでもよかった
私たちこんなふう満ちたりたかった

二〇一一〜六年:渇く

おわりのおわりを知るために
悲しみであなたを殺せたら
眠れぬ暁をきみは知らない
わたしあなたのために今も祈っている
2022/2/28〜