驟雨に沈むは白、ひとつ
喰散らかした残滓は甘く
ただ、君が為とは戯言の
音にひそむ優しさに怯え
鏡合わせの痛みは知らず
残響する生音の末路さえ
水路を満たす天泣のおり
花の水禍は些末なことと
微かに触れた遠心の声音
静かに結んだ蝶々の玉糸
其れは音紡ぎのやわい刃
哀切と言い切るその故は
水底にたたずむ鈴の音を
瞳を覆った優しさには、
赤子がにぎる剣のように
殺めたのは錆び付く心臓
肺を犯す声はやさしくて
故に君は優しさだと笑う
あたたかい舌がうそぶく
夏の残り香に乞うた物は
秋の夜に知った死の味は
正夢から覗く声がわらう
砕け散る硝子が赤く咲く
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