Raison D'etre

SETTINGCAUTION


お手を拝借
わたしが教団に生まれてから今日で十八年だ。ときは仮想十九世紀末――神に救われないわたしたちの、レゾンデートルの物語。

戦火とイ長調


前篇 中篇 後篇
南イタリアの古代都市マテールには亡霊が住んでいる。……なんだこの二人。めちゃくちゃ仲悪いな。知らない人のふりしたいな。

共生論


前篇 後篇
「わたしたちが任務に忠実であることが即ち、彼らの望みを繋ぐことにもつながる。そういう『計算』が滲みついている……」

花と屑
「でもねぇリナ、神田が優しく微笑んで『とてもキレイだよ。ダーリン』とか言いだしたら蕁麻疹が止まらないっていうか殴り飛ばしそうなんだけど」

茨道でも


前篇 中篇 後篇
「イエーガー元帥が瀕死の重傷で発見された。長期の任務になるだろうから荷物をまとめて、食事をとったらすぐに発ってほしい」

ふたつの足枷


   
江戸を一望する丘の上から薄桃色の花弁の木々の中に紛れて、江戸城付近の戦闘模様を見守る。「ゴツイのがいるぜ」

秘密の海
「……死にたい……」母が死んだとき、父がいたから耐えられた。父が死んだときは神田がいたから耐えられた。なら神田がいなくなったら?

惰性の切っ先


前篇 後篇
方舟の操作法を知っていたアレンが伯爵の手先でないかと疑われているのだろう。「……ヴァチカンで大人しくしてろってんだあの魅惑の後頭部野郎……」

懐胎


  
あっちにはアクマを破壊できない人しかいない。エクソシストがここで恐怖に竦んで何になる。──動け、この、生まれたときから戦士だった躰。

君の動脈


花束 墓碑 紅茶
ノアによる本部襲撃のあとすぐ、中央庁と教団の幹部が招集され、今後の体制について連日評議が行われた。

遺骨と湖
本部移転の通達が出たのは昨日のこと。……「死んだ神田を呼び戻してアクマになったわたしは、誰に破壊されるんだろう」

壊滅事件3rd


前篇 後篇
外は嵐。窓ガラスに叩きつけるような雨が降る。稲妻に照らされた教団内の廊下には、亡者と化した家族たち。

新しい日々と
騒ぎから程なくして、黒の教団本部は無事に引っ越した。「只今をもってエクソシストに、教団司令官として無期限の任務を言い渡します」

*あのこの棘
自分がその話を聞いたときに彼女を思い浮かべたように、彼女もまた自分を思い浮かべただろうから。

灰になるまで



「アルマ=カルマ。私たちサードの第一母胎です。元は神田ユウと同じ、人造使徒の被験体」「誰だそいつは」

海を臨む理由


  対偶
仕方ない。あの強がり上手な泣き虫がアクマになぞならぬよう、いまはとにかく生き延びてみるか。

獣にはなれない
「何があっても僕はエクソシスト、ね」リナリーとマリから不在の間の出来事を聞かされた神田は小さくぼやいた。相変わらず、反吐が出るほど甘い奴だ。

まちがいさがし


 
正面に座るティエドール元帥は、さっきからわたしをスケッチしている。「神田はやはりギルを追ったと思うかい?」

無垢の終結


*
それは逃亡する神田に対する心配だろうか、マリとリナリーが拘留されることに対する危惧だろうか。

ストレイシープ


前篇 後篇
過去篇
亜・第六研究所職員の葬儀が営まれたあとも、わたしと父はアジア支部に滞在した。

双子


  
過去篇
神田とマリが失踪してしばらくすると、わたしと父は本部へと戻った。……久方ぶりの再会がこんなものになるとは。

胸の痛み
過去篇
ふと神田の双眸が陽の光を受けてきらきら輝いていることに気がついた。「神田の目、きれいな色だね」

わらうように
過去篇
「どうしよう、神田に赤ちゃんできちゃう……」「できるわけねェだろ!!」すごい剣幕で怒られた。
ノベライズ3巻のネタ

エンディング
過去篇
そんな父が殉職したのは、わたしと神田が十四歳の頃だ。珍しく神田がわたしの名を呼んだなと、その日思ったことを憶えている。


title by joy